テレビの裏側 (第1回) ~テレビと視聴率~
みなさんは普段どれくらいテレビを見ていますか?
テレビは非常に強力なメディアです。
日本人1人あたりのテレビの平均視聴時間(※)は、平日でおよそ3時間半、休日は4時間にも及びます。
※国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)調べ
高年層の長時間視聴(全ての曜日で5時間以上)に支えられているとはいえ、新聞(平均20分)、インターネット(平均30分)に比べると、この差は圧倒的です。世間一般で「芸能人=テレビによく出ている人」というイメージがある理由も、これなら分かりますね。
特集「テレビの裏側」では、身近なようで意外と知らない、テレビ業界の内側を紹介していきたいと思います。
とっても大事な「視聴率」
テレビ業界には「視聴率」という言葉があります。
視聴率は「その地区のテレビ所有世帯のうち、何%がその番組を視聴したか」を表す数字です。
例えば、100世帯中30世帯が観ている番組であれば、視聴率は30%になります。
視聴率は非常に重要で、どんなに面白い番組でも、視聴率が低ければ放送を続けることはできません。
なぜなら視聴率が低い番組には、「スポンサー」企業がつかないからです。
番組の終わりに「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りしています」って見たことありますよね?
あれがテレビ番組の費用を負担している「スポンサー」企業なのです。
テレビ局は「スポンサー」企業に、番組間のCM枠を買ってもらい、そのお金を使って番組を制作します。
視聴率が高い番組のスポンサーになれば、自分の会社の宣伝をたくさんの人たちに観てもらえますから、スポンサーもお金を払う価値がある、というわけです。
反対に視聴率が低い番組のスポンサーになってCMを流しても、観る人がほとんどいないのであれば何の意味もありません。
「視聴率」はテレビ局の生命線です。
視聴率の高低によって、CMの値段も上下します。
だからこそテレビ業界の人々は皆、「視聴率」を気にするわけです。
テレビ局が番組を制作できるのは、テレビを観てくれている視聴者の皆さんと、それにお金を出してくれる「スポンサー」企業の存在があるからです。
視聴者とスポンサーの存在がなければ、テレビは成り立たないのです。
テレビ局とGRP
テレビ局と視聴率の関係を語る上で欠かせない言葉に「GRP」(延べ視聴率)があります。
毎分視聴率1%の番組に、テレビCMを1本流すことを”1GRP”と言います。
※例えば、視聴率が20%の番組にテレビCMを5本流せば、20×5で「100GRP」です。
GRPは、テレビ局がスポンサーと広告契約を結ぶとき、CMの値段の計算に使われる単位です。1GRPあたりの単価は、一般的な在京キー局でおよそ10万円と言われています。
そして、テレビ局には「1週間あたりの広告の総量は、全放送時間の18%以内にしなければならない」というキツい取り決めがあるので、視聴率が下がって利益が減ったからといって、むやみに広告枠を増やすこともできません。
一つの番組の視聴率が下がれば、テレビ局全体が影響を受けてしまうわけです。
(一つの番組の視聴率が5%下がると、そのテレビ局は50万円分(5GRP)分の商品を失ったことになります)
この事柄一つとっても、テレビ局にとって視聴率がいかに重要か分かりますね。
あとがき
「テレビの裏側」第一回、いかがだったでしょうか?
視聴率という言葉は知っていても、それが実際にどんな働きをしているのかは、あまり知られていないかもしれませんね。
このシリーズでは、次回以降も引き続きテレビ業界の裏側を取材、紹介していきますので、お楽しみに!
それでは、また。次回の特集で。