人を笑わせる方法 (お笑い芸人になるには vol.1)
世の中には色々な種類のコメディーやお笑いがありますね。
たとえお笑い芸人を目指していなくても、「笑い」に関する様々な理論やテクニックは、知っていて損になることはないでしょう。
お笑いの理論や流れを理解していれば、テレビのコントを観ていても、今まで気付かなかったような細かな仕草やセリフの意味が分かってくるかもしれません。
特集「お笑い芸人になるには」では、笑いのメカニズムから実践方法まで、深く掘り下げていきます。
緊張と緩和の理論(きんちょうとかんわのりろん)
第1回目となる今回は、「そもそも人は、どういうときに笑うのか?」ということについてお話ししたいと思います。
人の笑いのメカニズムとして有名なものに「緊張と緩和の理論」というものがあります。
(日本では落語家の桂枝雀[かつらしじゃく]という人の持論として有名です)
「理論」というと難しいもののように感じるかもしれませんが、その内容はシンプルで、
張りつけた状態(緊張)の後に、くだけた状態(緩和)がくると、「笑い」が生まれる
というものです。
「緊張と緩和の理論」では笑いの種類を次の4つに分類しています。
(1) 知的な笑い
頭で考えて正常でないこと、変な状態(緊張)から普段の状態(緩和)に戻ったときに起きる笑い。
普通ではありえないような事態に出くわして、頭が「この状況は何か異常だぞ」と考える。
その後何がおかしいのか分かった瞬間に起きる笑いです。
(例) スーツ姿の真面目そうなビジネスマンが、すごい馬鹿なことをする、など
(2) 情的な笑い
人が困りや怒り、見栄といった緊張状態から気の毒にならない程度の緩和状態に下がることで生まれる笑い。
ただし自分自身が困っていたり怒っている場合は、ずっと緊張状態のままなので、笑いは生まれづらい。
主に他人の行動を見ているときに起こるタイプの笑いです。
(例) 全身ブランド物で身を固めている人が自販機の下に小銭を落として焦っている、など
(3) 生理的な笑い
リラックスした空気の中で、ちょっとした緊張を与えて、緊張がとけた瞬間に生まれる笑い。
(例) 親しい間柄で、突然変な顔をして笑わせる、など
(4) 社会的・道徳的な笑い
他人との関わりの中で、やってはいけないこと(タブー)を、度を超えない程度に行ったときに起こる笑い。
このやってはいけないこと、という基準は、相手や状況によって変わります。
国や文化によって、笑いの方向性が全く違う、というのもココに原因があるそうです。
(例) 偉い上司や社長に気付かれないようにイタズラをする、など
こうして見ると、一言で「笑い」と言っても色々な種類があるのが分かります。
そしてこれら全てに共通して言えるのが、
「緊張」→「緩和」という状態を作りだすことで笑いが生まれる
という「緊張と緩和の理論」です。
色々な場面で応用がききそうですね。
あとがき
笑いを生み出すための「緊張と緩和の理論」ですが、あまりにも「緊張」が高すぎると笑いは生まれないそうなので、ご注意を。
(2)で言えば少し困っている人は笑えても、不幸のどん底にいる人は笑えませんし、(4)のような笑いでも、法律を破って人に迷惑をかけるほどのタブーは引かれるだけで笑いにはなりません。
ほどよい緊張と緩和こそが笑いの極意なのかもしれませんね。
それでは、また。