"営業"って何? 芸能界ならではの「仕事」の取り方について

芸能人を目指している方向け 特集

この特集は、芸能界の仕組みについての解説記事です。
ぜひ、今後の芸能活動にご活用ください。

このコンテンツでは、【芸能人を目指している方向け 特集】と題しまして、お役立ち情報や知って得する情報などを随時配信していきます。

今回は芸能界の「営業」について、一般にはあまり知られていない、芸能界ならでは仕組みを解説していきたいと思います。


実は芸能界において、「営業」という言葉には、2つの意味があります。

それは……

(1) プロダクションが、所属する芸能人に、仕事を与えるための「営業」
(2) お笑い芸人の方などが、イベント施設でパフォーマンスを実演する「営業」

の2種類です。


芸能界の営業って?

(1)のプロダクションが、所属する芸能人に、仕事を与えるための「営業」とは、
普通の会社の「営業」と同じ、自社の商品を売り出すための宣伝・販売行為を指します。

芸能界の場合は「商品≒タレント」なので、「タレントのために仕事をもってくる」ことですね。
所属プロダクションの方針によっては、タレント自身が、自分で仕事をもってくる(自分で営業する)こともあります。

(2)のイベント施設でパフォーマンスを実演する「営業」とは、
テレビでお笑い芸人の方などが、「こないだ営業で○○県にいったときなんですけど~」という場合の「営業」です。

この場合の「営業」は、タレントが地方のイベント会場等に出向き、実際にその場でパフォーマンスを行う行為を指します。
デパートで公演を行なったり、学園祭で歌ったり、イベント会場でトークを実演したり……、
一見地味な仕事に見えるかもしれませんが、知名度次第では、テレビに出るよりもいっぱいお金をもらえたりします。


(2)の「営業」については、また別の機会に解説するとして、
今回の特集で紹介するのは、主に(1)の「営業」について――つまりは、「芸能界での仕事の取り方」についてお話したいと思います。

どうやって仕事が入るの?

まず芸能界では、どういったときに、タレントに仕事の依頼が入るのでしょうか?

テレビや演劇などの"業界人"が、タレントに仕事を依頼するとき……
それは「そのタレントに何かしらの仕事(役割)を依頼したくなったとき」です。

「そんなの当たり前じゃん!」と思うかもしれませんが、ここで重要なのは、
どんなに経験豊富な業界人でも「知らない人には依頼できない」ということです。


キャスティング担当者(仕事を発注する人)が
「ここのキャストどうしよう?」とか「こんどの出演枠、誰に頼もうか?」とか
考える際、候補として挙がるのは、その人が名前を知っているタレントだけです。

例えば、有名な音楽番組があったとして、その番組に出演するにふさわしい、
素晴らしい音楽的才能の持ち主がいたとしても、
担当者に名前を知られていなければ、彼(彼女)は永久にその番組には出られません。



まずは名前を知ってもらわなくては、仕事をもらうスタートラインに立つことすらできない……、
ここに、タレントが自分の名前を「営業」する必要性が生まれるわけですね。

つまり芸能人として仕事をしていくためには、色々な人に、まずは自分の名前を知ってもらうことが重要です
そこで、芸能界の営業担当(通常はマネージャー)は、担当する新人タレントを売り出すため、日々挨拶まわりを続けるわけですね。

どういう人が仕事がもらえるの?

上述のように、芸能界では、マネージャー(やタレント本人)がプロフィールを持って、
キャスティング関係者に名前を覚えてもらおうとするわけですが、
名前を覚えてもらえる=仕事をもらえる、わけではありません。

キャスティング関係者が仕事を割り振るとき、
"印象がうすい"人や、"他の人でも替えがきく"人は、真っ先にキャスティング候補から外されてしまいます。


そして残った人たちの間から、イベントや番組の予算、構成を考えた上で、
「この役は、この人が最適だ!」と思った人に依頼を投げるわけですね。

当り障りのない、特長がない人には、誰も仕事を依頼しません。
(だってそれなら、その人に依頼せず、他の人でも良いわけですから)

人を引きつける特長は
「際立って背が高い」でも
「人並み外れて美しい」でも
「家電について誰よりもくわしい」でも
「異常なほどに顔の造りが面白い」でも
何でも構いません。

それが、そのタレントの「キャラ」でもあり、「個性」でもあるわけです。

ただ名前を知ってもらうだけでなく、
「この役柄なら○○さんがピッタリだな」と思ってもらえるような、
魅力的な「個性」をもつことが大切です。

自分の「キャラ」を理解しよう

営業だけが、「営業」ではない

名前を知ってもらって、「個性」に興味をもってもらう。
そこで初めて「キャスティング候補」となるわけですが、それでもまだ、仕事をもらえることが確実になったわけではありません。


番組やイベントの規模によって、依頼できる人数にも限りがあるので、
やはり有名な人、実績がある人から、順々に"枠"が埋められていきます。

その中で、まだまだ無名な人、実力・実績がない人が仕事を与えてもらうためにはどうすればいいのか?
そんなとき、モノを言うのが、日頃の"人間関係"です。

キャスティングの世界では、
「△△って子、よく挨拶にくるし、一回くらい試してみるか」
「××って新人、あまり知らないけど、この人の紹介なら大丈夫かな」

といったように、担当者の"情緒"や"経験"など、
人間的な感情によってキャスティングが決定されることも多々あります。

日頃の人間関係が大切

キャスティング担当者も人間ですので、営業だからといって、とにかく「仕事をください」ばかり言っている人間に
新しい仕事やチャンスを与えたいとは思いません。

だからこそ営業以外の時間も含め、日々の挨拶、人間関係が大事になってくるわけです。

仕事をもらうことが、ゴールではない

まずは地道な挨拶まわり、営業活動を続け、最初の仕事を与えてもらう。

そして与えてもらった仕事には全力で取り組み、そこで出会った人、関係者に何とか顔を覚えてもらう。
そこまでやって、ようやく「次もこの人に」となるわけです。

芸能界の仕事は、いつどこで何が仕事になるか分かりません。
その人自身の真摯な人柄が目にとまって、ふとしたキッカケから仕事に結びつくこともあれば、
仕事場でたまたま出会った人が、次の仕事を与えてくれることもあります。

いわば芸能人にとっては、挨拶まわりだけでなく、仕事も含め、日々の活動すべてが「営業」なのです。

いついかなるときも自分を磨き、良い意味でみんなに顔を覚えてもらえる、そんな芸能人を目指したいですね。

【あとがき】


ご精読ありがとうございました。
次回以降も特集記事を随時掲載してまいりますので、乞うご期待ください。
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