ハロー!プロジェクトの5人組アイドルグループ・℃-uteが6月12日のさいたまスーパーアリーナ公演をもって解散します。結成から13年。今や℃-uteはファンから支持されるだけでなく、ハロー!プロジェクトの後輩や多くのアイドルたちからリスペクトされる、アイドル界のカリスマといっていい存在です。そんな℃-uteがアイドル界に残したものについて振り返ります。
圧倒的なパフォーマンス力で多くの後輩からリスペクト
現在、矢島舞美さん、中島早貴さん、鈴木愛理さん、岡井千聖さん、萩原舞さんの5人で活動する℃-ute。「ハロプロキッズオーディション」に合格した「ハロー!プロジェクト・キッズ」の中で、Berryz工房以外のメンバー7人で2005年に結成され、2006年にアルバムで、そして2007年にシングル『桜チラリ』でメジャーデビューしました。
それから10年以上にわたって第一線で活躍してきた℃-ute。その最大の魅力は、アイドル界随一といえる、歌とダンスのパフォーマンス力の高さ。2010年に発売した『Danceでバコーン!』の頃から、業界内外でその評判が目立ってきました。
キレの良いダンス、時に力強く、時にしなやかで、時にセクシーに、そして時にとびきり可愛く…多彩な表情を見せるボーカル。中でも鈴木愛理さんと矢島舞美さん、二人のボーカルの交わりは多くの人を魅了、アイドルの枠にとどまらず評価が高いものになっています。
2012年頃、あまりアイドルの対バンライブに出ない℃-uteが、ある対バンライブにゲスト出演した時に見せたそのパフォーマンスの迫力は、まるで高校野球の大会に出場したプロのチームが本気を出して戦ったようで、圧倒的な存在感があり、会場の観客や共演アイドルたちを驚かせていました。
そのパフォーマンス力から、彼女たちをリスペクトするアイドルは数多くいます。金澤朋子さん(Juice=Juice)、藤井梨央さん(こぶしファクトリー)などハロプロの後輩たちはもちろん、外部のグループでも「℃-uteさんに憧れています」「尊敬しています」と語る人は多数。またオリジナル曲が少ないアイドルグループで、℃-uteの楽曲をカバーでチャレンジする人たちも多いです。さらに、女子大生のアイドル研究会でグループを組んで℃-uteの曲をカバーしている人たちも多いと聞きます。
アイドルグループながらフェスでロックアーティストたちと堂々渡り合う
業界関係者からの人気も高いハロプロですが、とりわけ℃-uteはアイドルを起用する媒体、関係者だけでなく、音楽、ロック系の関係者からも一目置かれる存在となっています。
それもあってか、大型音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』にも2015年から出演。同フェスでは、2013年ごろからアイドルグループが出演するケースも増えていますが、アイドル枠的な出演ではなく、ロックアーティストらに混じって、堂々とステージを務めるのは、彼女らのパフォーマンスのレベルが音楽ファンにも認められるものであり、それは実力派といわれるアイドルにこういったフェスに出演する道を作った意味で役割は大きいのではないでしょうか。
メンバーの入れ替わりのないことでスキル向上に専念できる
ハロプロのグループは、モーニング娘。をはじめ、アンジュルム、カントリー・ガールズなどメンバーチェンジを繰り返すことで進化していくグループが多いのが大きな特徴。ですが℃-uteは基本的にメンバーの入れ替えを行わないスタンスのグループでした。
7人組グループとしてスタートした後、メンバーの増減がありましたが、2009年に5人体制になってから解散までは固定メンバーで活動してきました。これは先に述べたパフォーマンス力の高さにつながります。メンバーが固定されることで、新人の育成や新たな人間関係の醸成に時間を割くことなく、自分たちのパフォーマンス力の向上に専念できます。特にリーダーの矢島さんのストイックで真摯な姿勢は、他のメンバーに大きな影響を与えていたと思われます。それが℃-uteの特にパフォーマンス面での成長に大きくつながったのではないでしょうか。
一番はやくソロとしてブレイクするのは?メンバーたちの今後について
そんな℃-uteのメンバーたちの今後についてですが、先日メンバーの萩原舞さんがグループ解散後に芸能界を引退することを表明し、話題になりました。卒業後は「海外に行って英語をしゃべれるようになりたい」と語ります。
また、メンバーの中でも特に高い歌唱力を誇る鈴木さんはブログで「ソロで歌手活動をします」と断言しました。℃-ute、ハロプロのみならず、アイドル界でも随一の歌唱力を誇る鈴木さん。「歌手活動を続ける」という選択は、アイドル界にとってありがたいことだと言えます。
これまでハロプロでは、グループを卒業してソロ歌手として活動している人の中で、グループ時代の勢いを保ったまま、ソロ歌手としてもブレイクするケースは決して多くありません。鈴木さんにとっても楽な道ではないと思いますが、マイペースで好きな歌を歌い続け、そしていつか℃-ute時代を上回るブレイクを期待したいものです。
リーダーの矢島舞美さん、中島早貴さんは、女優活動をメインに行っていくとのこと。こちらも、女優としてブレイクするのは簡単なことではありませんが、事務所で演劇プロジェクトを運営していますし、その作品も含めて場数を積み重ね、先輩の新垣里沙さんや、元同僚の真野恵里菜さんのように、外部の舞台、映画、ドラマから次々と声がかかるような女優になってもらいたいものです。
そんな中、現在もバラエティ番組で人気の岡井千聖さんは、メンバーの中では比較的早くソロ活動が軌道に乗るのではと思います。現在のエンタメ界で知名度を上げる面で強いのはバラエティで活躍できる人。同僚のカントリー・ガールズ 嗣永桃子さんが芸能界を卒業する中、その面白いキャラクターを生かして岡井さんが後を継ぐような形で、活躍の場を広げていくのではないでしょうか。本人は「仕事がなくなったら地元で居酒屋を経営したい」とうそぶきますが、ハロプロの知名度をさらに広げる存在になっていくかもしれません。
芸能界を離れる萩原さんも含め、これからの5人の未来が輝くように期待したいものです。
文/田中裕幸