• 2017年01月16日

ストリーミングの扱いは?国外だったらどうなるの?違法ダウンロードについて弁護士に聞いてみた!

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皆さんは映画館で映画を観ていますか?昨年は「シン・ゴジラ」や「君の名は。」など、邦画のヒット作がたくさん生まれました。今年も話題作の上映が目白押し。楽しみですね。

ところで、映画館で映画を観る前に流れる定番の映像、覚えていますでしょうか?キレキレのダンスとともにカメラのキャラクターが、映画の撮影や録音、さらに違法データのダウンロード行為が犯罪である事を教えてくれるあの映像です。「NO MORE 映画泥棒」といえば思い出す方も多いのではないでしょうか?今回は、この「違法ダウンロード」について、改めて詳しく教えて頂くため、弁護士の先生に色々とお話を聞いてみました。今回「違法ダウンロード」について教えて頂いたのは、アディーレ法律事務所の岩沙好幸先生です。


--記者
違法ダウンロードについて、改めて、何が禁止されており、どのような罰則が設定されているのか、法律の面から詳しく教えて頂けますでしょうか?

--岩沙先生
平成24年に著作権法が一部改正され、いわゆる「違法ダウンロード」に刑事罰が課されるようになりました。具体的には、違法にアップロードされた音楽や映像とわかっていながらダウンロードする行為のうち、本来お金を払わないと聴いたり観たりできない音楽や映像と知りながらダウンロードすると刑事罰の対象となります。なお、違反すると2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされています。

--記者
実際に違法ダウンロードで法的に罰則が適用された例は今までにどのくらいあるのでしょうか?また、違法ファイルやデータを“知らずに”ダウンロードしてしまった場合、何らかの罪に問われる事はあるのでしょうか?

--岩沙先生
純粋に違法ダウンロードのみで罰則が適用された例は今までにはないようです。この刑事罰の規定は親告罪とされており、権利者からの告訴がなければ公訴を提起できないことになっています。

違法ダウンロードに係る刑事罰については、故意犯のみを処罰の対象としており、「有償著作物等」であること及び「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信」であることを知らなかった場合には、刑罰の対象とはなりません。したがって、これらを“知らずに”ダウンロードしてしまった場合には刑罰の対象とならないのです。

--記者
最近は、映像も音楽も、今までのようなダウンロード形式ではなく、ストリーミング形式のコンテンツが主流になってきています。ダウンロード形式とストリーミング形式で法律的な見解は変わるものでしょうか?

--岩沙先生
ストリーミングを一時的に記録しておくためのキャッシュ生成のように、情報処理の円滑かつ効率的な利用のために必要と認められる限度でのデータ保存に関しては、著作権法47条の8の規定により処罰対象にはあたらないとされるのが多数説です。

--記者
ちなみに、海外の違法コンテンツを日本でダウンロードした場合、逆に、日本の違法コンテンツを海外でダウンロードした場合の扱いはどうなるのでしょうか?

--岩沙先生
著作権法では、「国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む」と定められているので、海外のサーバーに違法アップロードされた音楽や映像をダウンロードするのは違法です。

また、著作権法の規制は海外にいる日本人にも適用されますので(刑法施行法27条、刑法3条)、日本の違法コンテンツを海外でダウンロードした場合も違法となります。

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というワケで、今回は“違法ダウンロード”について、弁護士の岩沙好幸先生に色々とお話を伺いました。法的には、自身がダウンロードしたデータやファイルが「違法データである事を認識しているかどうか?」が重要な判断材料になるようです。逆に、認識しているのであれば、たとえ国外であっても刑事罰の対象になるとの事。インターネットが普及し、様々な違法データが蔓延する世の中だからこそ、違法ダウンロードによって罪を犯す事の無いよう、しっかりと覚えておきましょう。

・取材協力
岩沙好幸(いわさよしゆき)弁護士(東京弁護士会所属)
弁護士法人アディーレ法律事務所