芸能界を目指しているみなさんは、有名芸能事務所が書類・面談・オーディションなどの選考の際、「どういったポイントを見ているのか?」「どういう人が所属に至るのか?」とても気になりますよね。
今回は前田敦子さん、大島優子さん、指原莉乃さんなどが所属する「太田プロダクション」のドラマ部でマネージャーと新人発掘をご担当されているKさんに、書類選考や面談で重視されているポイントについてお話を伺いました!
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面談は一方的な選考ではなく、「事務所とご本人が相思相愛になれるかどうか」を判断する場
書類選考で特に重要視する部分、写真を選考する基準があれば教えてください。
書類選考では、主に「写真」「年齢」の2点を重視して見ています。
「写真」で、弊社が求めている人材かどうか、自分の魅力が損なわれない写真をしっかりセレクトできているかを見極めます。メイクは必ずナチュラルメイクもしくはすっぴん推奨です。「年齢」は、10代のほうがオーディションが多くチャンスが広がっているのと、育成に時間をかけられるので、基本的には10代を中心に見ていることが多いです。また20代以上では、芸能活動経験が豊富な方がいないかをチェックすることが多いですね。
太田プロダクションさんでの面接・面談の流れを差し支えなければ教えてください。
明確に流れは決まっておらず、その時々で変わります。その人がどういう人なのか……履歴書に書いてあることにもよりますし、絶対これを聞くという決まった項目はないです。業界経験のない方だと芸能界のことがわかっていないと思うので、質問に回答したり、活動の流れを説明したりした上で、双方で目標を定めていきます。あくまで一方的な形ではなく、こちらが選考するというよりは、その人と弊社が最終的に相思相愛になれるかどうかが大切だと思っています。
芸能人としての資質は「ぱっと見で目を引く個性」と「興味・探求心」があること
面談で特に重要視して見ている独自の評価基準はありますか? 見た目・スタイル・性格など、特に重視しているポイントがあれば教えてください。
見た目・スタイル・性格に限らず全てを見ています。性格でいうと、おそらく第一線で活躍できるまでには時間がかかるので、そこまでかなりの努力や諦めない、くじけないで続ける心が必要になってきます。それをちゃんと持っているか。またなかったとしたら、そういう精神を培っていくことができそうかというところは見ています。
ーではやはり根性があるかどうか、ということでしょうか。
そうですね、ただそれが一番のプライオリティではないです。人によっては経験を積んでいくことによって、自覚も芽生え、モチベーションも上がり、だんだん出来上がっていくこともありますので。
もちろん本音としては厳しい世界だから、本当に自分で「何があってもやっていく!」と思える人でないと心が折れてしまう可能性があるので、強い意志を持っていることは大事だと思います。
ーこれは絶対に必要、というものはありますか?
ぱっと見で目を引く個性と役者であれば映画やドラマなど、自分が活躍したいと思っているフィールドに対しての探求心や興味の強さです。
特技なんてなくてもいい? それよりも大事なこととは
オーディション・面談でよく聞かれる項目の中でも特に、自己PRや特技の内容に悩む人が多いようなのですが、これらについて見ている点やアドバイスがあれば教えてください。
結論からいうと、特技はなくたっていいです。ドラマや映画のキャスティングの際に、例えば「空手ができる人」「バスケができる人」「英語ができる人」というオーダーをされることがあります。作品によっては求められている特技を持っていない場合にはオーディションにも呼ばれることはありませんので、ないよりはあったほうが良いことは間違いないです。ただ、特技が求められるのは一部の作品であって、特技がなくても問題ありません。その特技によっては、努力しないと身に付かないもの、身体能力や精神力を高めないと上達しないものなどもあると思いますので、何か特技があるのであれば、そういう役者としての素地みたいなものはあるかもしれないという見方はできるとは思いますが。
特技ではないと思いますが、例えば「本を読むのが好き」というほうが、この子はドラマの台本が読めるだろうな、という判断につながるかなと思います。
あとは、例えばこういう映画監督や俳優さんに興味があるとか、映画やドラマをこれだけの数観てますとか、演技レッスンや発声練習などの努力をしてますとか、そういう具体的に何かしていることや俳優になることに興味があるんだろうなということを書けたり喋れるのであれば、それはPRになると思います。
レッスンに参加していることは技術的な向上に繋がると思いますし、映画やドラマのスタッフさんに会った時に、俳優になりたいんだという強い意志を感じさせることができれば興味を持ってもらうことができて、オーディションに呼んでいただけるという機会も出てきたりしますので。
自己PRは、考えすぎずに自分の思ったまま、自分がこれまでやってきたこと、今やっていることを飾らずに正直に書くしかないと思います。もしPRに繋がりそうなことがないなら、そこで気づいて何かを始めても良いわけですし。自分の中にないものを無理矢理書いても見抜かれますし、プラスには働かないので、あまり悩まず書いてほしいですね。
実技で見るのは「できないことに対してどう取り組んでいるか」
実技の審査で特に見ているポイントがあれば教えてください。
一通り話をした後にセリフを読んでもらうことがありますが、まったく演技経験のない人がいきなり上手くできるわけがないので、できないなりにどう取り組んでいるかを見ています。ストーリーや役を理解しようとしているのか、自分で理解したことを体現しようとしているのか、その場面をイメージしようとしているか、など。また、ウィークポイントがあればそれを埋められるかどうか、埋めるにはどれぐらいの時間がかかりそうかはその時に見極めています。
今まで選考で重視するポイントについてお聞きしてきましたが、逆に「こういう人は即NG」という基準があれば教えてください。
弊社が募集している年齢に合致していないとか、写真が不鮮明だったりメイクが濃すぎて容姿がよくわからないなど、そういった場合は選考外とさせていただきますが、基本的には「NGをはじく」というよりは、「会いたいと思う人がいたら会う」という感じですね。
ー会ってみて、例えば話し方や礼儀などでダメだこの人、ということはありますか?
実際に会った時の反応やしゃべり方など、何かひとつが原因でNGということはないです。これから変わるかもしれないですしね。
芝居感が悪そうだなと思ってもレッスンすればできるようになるかもしれないし、挨拶できなくても「挨拶しなさい」と言えば変わるかもしれない。内向的だったとしてもそれは言い換えれば、自分の世界があって個性を持っている可能性があるかもしれない。だから、役者ということに限って言えば、そういったことは大きな問題じゃないと思います。
太田プロダクションが「今後ほしい人」とは?
太田プロダクションさんには本当に多種多彩な方がいらっしゃると思うのですが、今後特に「こういう人がほしい」というご希望があれば教えてください。
10代の子で、ドラマや映画で活躍したいと思っている、純粋で素朴な子は常に探しています。やる気はあるに越したことはないですけど、やる気は無くても、興味がある、やってみたいという気持ちがあれば、場数を踏むことでやる気が強くなってくるケースもたくさんあるので、チャレンジしてほしいと思います。
誰でもはじめは未完成。欠点があっても気にせずに応募してほしい
太田プロダクションさんのご担当の方から見る強みをあらためてお教えいただけますと幸いです。
強みは、オールジャンルさまざまなタレントが所属しているので、その人の適正を見ながら幅広くプロモーションができることだと思います。特に俳優部門は若い世代で良い人材がいれば事務所全体で注力していきます。
最後に、narrowユーザーをはじめとした、芸能界を目指している人たちにひとことメッセージをお願いいたします。
応募時点では完成形ではありません。自分の欠点やコンプレックスがあったとしても、それは気にせずに応募してください。いま一線で活躍しているタレントさんでも、長い下積み時代があることが多いです。少しずつ経験を積んでいき、人に見られることで磨かれていきますので、やりたいという気持ちが少しでもあるのであればぜひ、応募してみてください。
―ありがとうございました!
まとめ
言葉を選びながら、ひとつひとつの質問に真剣に答えてくださったKさん。長年現場にいらっしゃる方だからこそわかる、貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。
「ばっちりメイクをしている人は選考から外す」というお話は意外と盲点だなと思いました。少しでもよく見せようと、しっかりお化粧をした写真を載せている方も多いのではないでしょうか。特技なんてなくてもいい、というお話も印象的でした。全体を通して、大切なのはひとつひとつの細かい部分ではなく、その人自身の魅力や可能性を包括的に見ていらっしゃるんだなということを感じました。
これを機に、みなさんぜひご自身の履歴書の写真や項目を見直してみてください。でも何よりも必要なのは、ありのままの自分自身で勝負する勇気かもしれません。
太田プロダクションさんは現在、narrow限定の所属オーディションを開催されています。お話の中にあったように、応募時は欠点があって当然です。演技に興味のある方はぜひ、自分の欠点や実力については気にせず、まず応募してみてください。
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