芸能界の中でも、映画、ドラマ、CM、演劇など活躍の場面が比較的多い役者ですが、どのジャンルであれ、自分以外の誰かになりきるのが仕事です。今回は、オーディションで、あなたをライバルよりも魅力的に見せる秘訣と、そのために日頃から取り組めるちょっとしたヒントをご紹介します。
監督や演出家にイメージさせる余白を残す
オーディションはまたとないチャンスですから、少しでも目立ちたい、というのが本音だと思います。しかし、役者とはあなた以外の誰かを演じる仕事ですから、あなた自身の個性が前面に出すぎてしまわないような考え方でオーディションに臨むことをおすすめします。
具体的には、「こんな風に演じてくれるんじゃないかな?」などと、監督や演出家にあなたの役者としての伸びしろをイメージして貰えるような“余白”を感じさせる服装やメイクが望ましいです。
演技に関しても、「嬉しい時はこんな風に言おう」「悲しい時はこんな風に動こう」などと決めすぎることなく、要求された役に柔軟に対応できるように気持ちにも余白を残して考えると良いでしょう。
「知らない」よりは「知っている」方がずっと強い
役者として、時にはIQ200の役を演じる必要があるかもしれません。オーディションの現場で、冬山を登るシチュエーションを与えられることや、砂漠に取り残されるシチュエーションを与えられることもあるかもしれません。
そんな時に役立つのは知識や経験です。もちろん、知りたくないことを無理やり知る必要はありませんが、少しでも広い分野に好奇心を持って目を向けておくと、役者としての幅は広がります。
まったく知らないことを想像して演じるのは、どんなに経歴の長い役者にとっても難しいことです。しかし、それに近い経験があれば、想像を近づけて演じることはできます。どんな経験も糧になると信じて、日頃からいろいろなことに挑戦してみましょう。勉強などの苦手な分野も、「オーディションのため」「役者になる糧」と考えれば、意外と楽しめるのではないでしょうか?
ないがしろにできない!リズム感と音感は最も重要!?
「リズム感や音感が必要なのは、ミュージカル俳優だけでは?」と考えている方もいるかもしれません。しかし、大袈裟に言えば、役者にとってリズム感と音感ほど重要なものはありません。
役者は、身体を使う仕事です。時には、運動神経の良い人の役を演じるかもしれません。それ以上に、身体は、人によって様々です。いつも背筋の伸びた人もいれば、背筋の曲がった人もいます。歩幅の広い人もいれば、歩幅の狭い人もいます。人の個性を表現するには、そうした繊細な身体の使い方が重要となってくるのです。
音感についてもそうです。喜びの感情、怒りの感情、哀しみに感情、落ち込んだ感情、様々な感情を演じる際に声色で表現することも必要です。そんな時に、自分の声を自在に操れることも必要なのです。
いつ、どんな方向から、どんな変化球が飛んでくるか分からないのが役者の仕事です。そういった場面で臨機応変に球を打てるよう、自分のスタイルを固めすぎず、備えておくのはとても重要です。相手の立場になって考えてみたり、時には人間以外の生き物の気持ちにもなって、日頃から柔軟に想像力を養うことを心がけましょう。