- 2019年08月01日
- Tweet
ドラマ「獣になれない私たち」「初めて恋をした日に読む話」2人のプロデューサー(ケイファクトリー所属) に聞きました!「オーディションのエピソード&合格ポイント」 とは?
大塚英治さんプロフィール
プロデュース作品
NTV「獣になれない私たち」
NTV「お迎えデス。」
NTV「Dr.倫太郎」
NTV「戦力外捜査官」
NTV「Woman」
NTV「Mother」など
有賀聡さんプロフィール
プロデュース作品
TBS「初めて恋をした日に読む話」
EX「越後純情刑事 早乙女真子」
TBS「カンナさーん!」
CX「塔馬教授の天才推理」
WOWOW「モザイクジャパン」
同じ社内に「制作部」と「俳優部」があるケイファクトリーならではのいいところは?
制作部と俳優部があるケイファクトリーさんならではの強みを教えてください。
大塚さん(以下、大塚)
すぐとなりに俳優部があって状況などを知れるので、「何月ごろこの役者さんが空いてる」と聞いてその役者さんありきの企画を出せるのはいちばんの利点ではないでしょうか。
ただ、自社の役者をキャスティングするということは甘えにもなる部分があるので、役に合っていないのに社の利益を優先して自社の役者をキャスティングすることはないですね。
やはり一番は作品に合うこと優先なのですね。
大塚
ですね。本音と建前はいろいろあるんですけど(笑)。
有賀さん(以下、有賀)
本音の部分で言うと、若い俳優さんはチャンスがたくさんあるわけではないので、機会があれば自社の若い俳優さんを積極的に使おう、という気持ちは少しはあります。
大塚
俺はそういう気持ちは全然ないですけどね。
ーそこの考えはそれぞれなんですね(笑)。
有賀
若い俳優からすると、ドラマ制作に携わっているスタッフがそばにいるので、悩みを相談しやすかったり質問しやすかったり、っていう点はいい環境なんじゃないかなと思います。
大塚
あとドラマのオーディションがあるときに、相手役をケイファクトリーに所属している若手の役者にやってもらうことはよくありますね。
ー相手役をやるというのはかなり勉強になりそうですね。
いい俳優になるために、若いうちにやっておくべきことは?
若い方に見てほしいと思うドラマ作品があれば教えてください。
大塚
ないですね。あんまりテレビ見るなって思いますね。
一同
(爆笑)
大塚
地上波の規制があるものよりは、映画や舞台に行ったり、私生活を楽しんだほうがいいと思います。毎週何曜日に何時からある何かを楽しみにしてる役者はあんまり好きじゃないですね。
有賀
このインタビューは俳優を目指す方たちがお読みになるということでお伝えしたいのは、自分が作ったものに関わらず、作品はたくさん見たほうがいいと思いますね。
俳優さんの年齢やジャンルを問わず、その方たちがどういう風に芝居をされているか、そして映っているかを見るのがいいと思いますね。オーディションで「この作品見てる?」と聞くことって結構あるので、「見てません」だとそこで終わってしまうけど、見てると話題になりますし。
ちなみにお二人は中高生のころに見ていたエンタメってありますか?
大塚
俺は野球部だったからTVは見てなかったね。
有賀
俺もずっと塾だからあんまり見てなかったな。漫画は一通り呼んでたかな、ジャンプ、マガジン、チャンピオン……。
大塚
俺は漫画も見てなかったな。
有賀
でもドラマはもっと小さいときに見てましたね、金ドラ(※)とか。「ふぞろいの林檎たち」や「3年B組金八先生」とか……今思えば、TBSのドラマが多かったかもしれないね。
大塚
TBSが強い時代だったんだよね、ドラマが。日テレは「池中玄太80キロ」ですね。
有賀
その頃小学生ですね。
大塚
小学校1、2年の頃だね。
有賀
あと日テレだと「西遊記」だね。夏目雅子さんの。
大塚
あと「熱中時代」ね。
やってみたいのは、「無名俳優だけのドラマ」「マーケティング無視のドラマ」「同じクラスで毎回先生と展開が変わるドラマ」
元号も令和になりましたが、これからこんな作品を作っていきたい、というご希望はありますか?
大塚
何かな……シチュエーションとしては有名な人が誰も出てないドラマをやりたいですね。
有賀
それは同意します。テレビにたくさんお出になっている有名な方以外にも、お芝居が達者な方や魅力的な方はたくさんいるので。そういった方たちを使いたくてもいろいろしがらみなどがあって使えないということはいっぱいあるから、そういったことを考えずにキャスティングできるといいですよね。
大塚
時代には合わないんだけど、最近ドラマ作るときに必ず行うマーケティングに頼らない、全く無視したものを作りたいですね。タイトル決めるのにもマーケティングをかけるので。
有賀
テレビなのであまり難しいことを考えずに、ながら見できるくらいの気軽な楽しい作品が作れたらいいですけどね。なんか最近テーマを考えがちじゃないですか。社会派だとか。
大塚
重たくなっちゃうんですよね。
有賀
そう。
大塚
あと今いちばんやってみたいのは、3年2組っていう中学の教室があって、全部で11話あるんですけど、生徒は同じなんですけど1話ごとに先生が毎回違って、同じ問題が起きるけど毎回解決法が違う、もしくは解決できない、そういう作品を作ってみたいですね。
有賀
ジャンルだと何だろう……ミュージカルとかやりたいですね。
大塚
やればいいじゃん(笑)。
有賀
企画はもう十数年出し続けてるけどなかなか通らなくて。演歌のミュージカルの企画を進めていたこともありますが、通りませんでしたね。カットの問題や著作権の問題で、ミュージカルは難しいんです。
ーミュージカルドラマ、面白そうなのに残念です。
オーディションの選考基準は役に合うかどうかがすべて。ごくまれに例外も
ドラマのプロデューサーとしてキャスティングやオーディションに関わることもおありだと思いますが、その際に重視するポイントはありますか?
大塚
ポイントというかオーディションとして当たり前のことなんですけど、基本的にはその役に合うかどうかということがすべてです。順位を決めるためにやるものではないので、落ちたからってその人を否定するわけではないんです。
有賀
そうですね。完全に役にマッチするかなので。
大塚
どんなにかわいかったりきれいだったり優れてたりしても、役に合ってなかったらお願いしないですし。
ときどき僕たちが求めてる役を超える方が現れて台本を作り直すっていうこともあるんですけど、そういうことは本当にまれですよね。「Mother」をやったときに、対象になっていなかった芦田愛菜さんが選ばれたのは例外でした。小学校2年生の女の子をキャスティングしようと思ったら幼稚園の年中さんが来て、全部台本を作り直したっていうのが初めてでしたね。ときどきそういうことがあるんですよね。
「クラスメイトをたくさん選ぶオーディション」ではまた違うポイントが
大塚
役ではなくて、クラスメイトを何十人もオーディションで決めるというときは、クラスの中の役割を自分で置いて選びます。美人やイケメンばっかりになってもいけないのでバランスも大切ですし、あとは個人がかもし出す「クラスでこういうやついるよな」という雰囲気だったりも見ます。
興味深いです。
有賀
ほとんどの方は前向きに「この役をやりたい」とやってくると思いますが、言われてきましたみたいな方はちょっとしんどいなと思いますね。
大塚
いいじゃん別に、俺はそういう後ろ向きも好きだよ。
有賀
ええ~、そう……? 俺はちょっと嫌だな(笑)。レギュラーは3か月一緒にやるし、どうせしんどい現場だから前向きな人とご一緒できたほうが嬉しいです。
役に合わなくても評価されて次につながる人もいる。大事なのは「パターンを持つこと」と「独特な個性」?
役のイメージに合わないけどいいなと思ってその後につながることはありますか?
有賀
オーディションのときにお芝居をやってもらうから、その時にうまいなと思って同じ作品でも別の役をお願いできるなとか、別の作品をやるときにお願いしてみようかなみたいなことはもちろんあります。
役の理解が深いということだと思いますけど。結局オーディションってせいぜい2ページくらいの短いお芝居しか見られないので、その中で役を理解するのは難しいと思うんですけど、それでもできる人はできるので。
大塚
パターンを持ってる人が好かれますよ。同じセリフを何回かやっていく中で、いろんなパターンを持ってる人ってやっぱり評価されますね。
有賀
引き出しが多いっていうのは場馴れしてるっていうことかもしれないですけど、実際の現場でも「この演技は何か違う」となって別のやり方を用意していくのは本番でも求められることなので。
大塚
あんまりもらった台本に固執して役を作り込みすぎると、突発的になにか起こったときに修正できなくなっちゃうので、そこは広く考えたほうがいいかもしれないですね。
有賀
探してない役だけど、この人入れたら何か面白そうだから入れてみようってことはありますね。モブがたくさん出てくる作品とか。
大塚
7月19日に放送された福岡ローカルの「博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?」という岡田健史さん主演のドラマを作ったんですが、高校の教室の話なんですけど、渕野右登さんがめっちゃ暗くて、面白かったから予定してなかった役を作ったっていうことはありましたね。3年前に「でぶせん」というドラマでもご一緒したんですけど、その頃から「暗いな」と思っていて。
有賀
暗い。
ー「暗い」ってネガティブなイメージがありますが、俳優さんの場合はいい意味で評価される場合もあるんですね、面白い。
火野正平さんのすごいエピソードと、最近連ドラで主役をやる俳優さんの共通点
過去に現場で関わられた俳優さんで、特に印象的だった方はいますか?
大塚
僕がいちばん今までびっくりしたのは火野正平さん。京都から東京にきて撮影だったんですけど、空港に迎えに行って現場まで向かってるときに、「あ、京都に台本置いてきちゃった。持ってる?」って言われて台本を貸したら、車の中で30分くらい見て、現場についたら返してくれて。その後一回も台本を見ずに撮影されてました。「あ、あんな短い間で台本が入るんだ」と驚きました。
それがとても印象が強くて。「やっぱり火野正平さんてすごいんだな、根っからの俳優なんだな」と思いましたね。
一同
へえ……!
大塚
あとは、最近連続ドラマをやることが多いんですけど、最近の俳優さん、連ドラの主役をやるような人ってみなさん真面目だなという印象を受けますね。撮影中も撮影前も役に挑む準備を怠らない。
有賀
昔は破天荒な方が多かったですけどね。
大塚
今なんか、飲みに行く? みたいな話になっても次の日撮影があると、みなさん「明日早いんで……」という感じで真面目だなと思いますね。
横浜流星さんが「初めて恋をした日に読む話」オーディションで見せた天性の才能とは?
有賀
先日「初めて恋をした日に読む話」でご一緒した横浜流星さん。彼もオーディションの時に、1話から抜粋した台本で演じてもらったんですけど、役の理解がものすごい深かったですね。
大塚
抜粋したのに役の理解があるんだ、それはすごいね。
有賀
もちろん簡単に「この台本の手前にこんなシーンがあります」という説明はしてますけど、こちらがおもっているユリユリ(由利匡平)像、こういう人だなという像にアジャストしてきていたので。
大塚
有賀さんは3年前も「でぶせん」というドラマで横浜さんと一緒にやっていて、そのときは僕が気づかなかった横浜さんの魅力にすでに気づいていましたからね。
オーディションで「役の理解が深い」というのは、真面目に取り組んでいるからできることですか、もしくは天性のものですか?
大塚・有賀
センスだと思いますね。
大塚
そもそもオーディションでは台本を全部渡すわけじゃないので、役の理解なんてできないほうが普通だと思うしこちらも求めてないんです。
有賀
本当にそのタイミングで役を理解できるというのはセンスですね。
これからは俳優が主体に作品を作ってもいい。自分たちのやり方とは違う、新しいドラマを作っていってほしい
これからの若い世代の俳優に期待するのはどんなことですか?
大塚
俺とか有賀世代は昔ながらのドラマの作り方をしてきているので、そういう年寄りの古いドラマ作りに反発するような人がいいなと思います。今、若い人たちがお金を出し合って映画を作ったり、自分たちとは全然違うやり方でやっていて。テレビも古い作り方は俺たちくらいの世代でなくなればいいのになって思ってます。若い人たちには、自分たちとは全然違ったアプローチでドラマを作ってほしいと思いますね。
有賀
フィールドが広がっているので。昔はテレビしかなかったですけど、BSとCSが増えて、配信が増えて。作り方も変わってきてるし、見る人たちも変わってきているので。
大塚
僕たちはしがらみ80%くらいで作っているので。
有賀
そうですね。
80%(笑)。
大塚
だから、そうじゃない「いいものはいい」という個人個人の才能で作っていってほしいなと思いますね。そうしないとどんどん置いていかれる感じがします。最近はNetflixやHuluでいろんな国のオリジナルドラマが見られますが、日本のドラマがいちばんつまらないですもんね。だいたい地上波の流れの配信もので、オリジナルのものも全然チャレンジしてない感じがして。ヨーロッパや北欧系のドラマもNetflixで見られるんですけど、日本のものに比べると全然チャレンジしていて面白いですね。
そうなんですね!
大塚
最近は連続ドラマでも有名なフリーのディレクターや監督を使う、という流れがちょっと出てきましたけど、まだまだ少ない。もう決められたテレビ局員や制作会社の社員のディレクターがやるっていう時代は早く終わってほしいなと思いますね。個人の力みたいなものが出てくるといいな。
俳優中心に頑張っていきたい人、女子も男子も募集中! 他の誰でもない自分自身を見せてほしい
現在narrow限定でケイファクトリーさんのオーディションを開催していただいてますが、こういう人にきてほしい、というのはありますか?
大塚
ケイファクトリーの俳優部は女性が少ないのですが、ドラマの主人公は8割がた女性なので、女性も増えるといいなって思っています。オーディションに来るのは女性の方が多い印象があるんですけどね。「先に生まれただけの僕」の生徒役のオーディションなんかは女の子ばかりだったんですよ。もうたぶん、中高生で俳優になりたいと思う男が減ってるんだと思う。女の子のほうがガツガツしてる。
有賀
自己表現が苦手な人が多いですよね。照れちゃう人が多いのかな。はじ恋のオーディションは同世代の同性がたくさん見てる前で演じる形で、なかなかサバイバルでしたね。見てる方は落ちろって思ってるだろうし。でも、俳優を目指す若い男性も増えてほしいですよね。
役のオーディションでも事務所の所属オーディションでも言えることですが、ファッションも演技も特定の誰か風になっている人が多い気がしていて。僕たちは、他の誰でもないそのままのあなたにお願いしたいと思って選ぶので、人のまねではなく、自分を見せてほしいですね。
ーお二人とも、今日はありがとうございました!
1次通過者は連続ドラマプロデューサーによる無料ティーチングあり!【narrow限定】ケイファクトリー新人発掘 2daysオーディション!
ケイファクトリーでは、narrowの会員限定で、2年ぶりに大型の新人発掘オーディションを開催しております。
夏SP企画!連続ドラマのプロデューサーと監督から話が聞ける特典付きです!
本インタビューでお話してくださった有賀プロデューサーの話も聞けますよ!
ルックス、知性、透明感などの魅力はもちろん、芝居をやりたいという情熱がある10代を特に求めています。
↓ご応募はこちらから↓
【narrow限定】ケイファクトリー新人発掘 2daysオーディション!
「初めて恋をした日に読む話」DVD&ブルーレイ発売中!
本インタビューでお話くださった有賀聡プロデューサーのプロデュースされた「初めて恋をした日に読む話」のDVD&ブルーレイ発売中!
7月26日(金)発売 DVD&ブルーレイ
「初めて恋をした日に読む話」
(C)持田あき/集英社・TBS・K-Factory
発売元:TBS 発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
取材協力: ケイファクトリー
ケイファクトリーは川平慈英を筆頭に、佐々木蔵之介、佐藤隆太などジャンルを問わず幅広く活躍する俳優が所属。役者の個性に応じた育成・マネージメントと、映画・テレビ・舞台等の制作を兼ね備えた総合プロダクションです。
未経験でも構いません。